電源高調波対策技術 2-5

1999.2.25

(有)浅井工業  浅井 紳哉


2-3.直列形アクティブフィルタによる対策

 (1)ツー・コンバータ式

  (a)直列形アクティブフィルタのブロック図




  (b)直列形アクティブフィルタの原理




  (c)メリット

   〇力率を約100%に近づけられる。

     どのクラスの規格も満足する。


  (d)デメリット

   〇回路が複雑になる。

     コンバータを1段余分に構成するため、回路規模が多くなる。(コスト上昇)

   〇高い周波数成分が流出する。

     アクティブフィルタのスイッチング回路により、スイッチング周波数成分の高周波電流が商用電源に流れる。

   〇コンバータが直列に2段構成されるため、効率が低下する。

     アクティブフィルタは昇圧型コンバータのため、適切な電圧にするには、2段のコンバータが必要。

     各コンバータが効率90%でも、2段で81%になる。




 (2)ワン・コンバータ式

  (a)メリット

   〇高効率化が実現できる。

     高調波電流の対策をしない物と同等の効率が得られる。

   〇部品点数が少ない(低コスト)





  (b)ワン・コンバータ式の例

    ハイブリッド・パラレルコンバータ

    [(有)フィデリックス 中川 伸 氏 特許]




   ハイブリッド・パラレルコンバータの高調波(50V/2A 100W)


入力電流波形


高調波電流


   ハイブリッド・パラレルコンバータの性能(50V/2A 100W)


    効率 : 91%    力率 : 93%


出力リップル波形  リップル: 80mVp-p



   デメリット

    〇トランスが増える

     パラレル方式のためトランスが2個必要。

    〇コイルが増える

     脈流側のスイッチング電流が系統側に流出するため、入力フィルタが2段必要(VCCI対策)




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